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  異界の境界の緑  第十五話 木辛 (アズサ)
 
 どこまでも続くように思えた道が急に途切れた。行き止まりには泥にまみれた巨木が骸のように転がっている。枝は落ち、随分小さくなっていたが、この先に進むためには乗り越える必要がありそうだ。
 ハクシャはソドウに支えられながら、湿った巨木に足をかけた。両手に力を入れると、腐った果実の皮のように樹皮が剥がれていく。崩れかけた体勢を整え、ハクシャは巨木に乗り上げた。しかし、新しい景色を目にした彼女の動きが止まり、身体から力が抜けていく。
「どうした? ハクシャ」
 その問いに答える言葉はない。不思議に感じたソドウは巨木に足をかけると、ハクシャの隣に並んだ。
「一体どういうことだ?」
 目の前に広がる森は命の気配すら伺えなかった。全ての木々が立ったまま枯れている。樹皮が剥がれ落ちたその姿は、白骨が立ち尽くしているようだった。
 冷たい風が吹きぬけていく。ソドウは巨木から滑り落ちるように地面へ下りると、木々に歩み寄り、手近な枝に手を伸ばした。一縷の望みをかけてのことだったが、枝はあっけなく折れた。中心まで白くなっていることを確認しながら指で擦ると、粉になって風と共に消えて行った。
 背後から春先に解けた雪が落ちるような音がして、ソドウは振り返った。ハクシャが持っていた荷物が地面に転がっている。そして、彼女自身も物のように全身の力を失って、膝をついたまま、虚ろな目をして死を迎えている森を見ていた。
 枯れた木々は風で揺れる度にお互いを傷つけている。地面は傷跡を覆うかさぶたのように赤黒く固まっていた。
「何もかも遅かったのね」
 青白い顔をしたハクシャから零れ落ちた言葉は、時間が止まったような森の中を通り抜けていった。膝の上で握りしめられた手は小刻みに震えている。ソドウはハクシャの前に跪いた。
「まだ入ったばかりだ。手遅れと決め付けるのは早すぎないか?」
 ハクシャはソドウの言葉に対して、首を強く横に振った。気休めは必要ないと全身で拒絶する。疲れ果てた表情の顔に短くなった白い髪が纏わりつく。何かが変わるかもしれないという思いひとつで、ここまで歩いてきた彼女を打ちのめすのに、枯れた森は十分すぎる力を持っていた。
「とにかく、今日はここで休もう」
 ハクシャはこのままでは進むことが出来ない。とにかく今は休養が必要だと考え、ソドウは野営の準備を始めた。
 赤い空が青く陰り、闇が死した森を包み込む。ハクシャはここ数日間で泥にまみれてしまった敷物を広げて横たわり、闇に飲まれることを望むように火に背を向けて丸くなった。
 身体は疲れている筈なのに、全く眠りにつけない。全てを忘れてしまうことが出来れば、もとの自分に戻れるだろうか。どこまで戻れば幸せだろうか。答えの出ない問いを廻らせ、とにかく眠ったほうがいいという結論に辿り着く。
 だが、しばらく目を閉じてもまた開いてしまい、体勢を変えて見ても寝付けない。座って膝を抱えていると落ち着いたが、これでは眠れない。長い夜を不安と向き合いながら過ごし、朝日が昇る頃、ようやくハクシャは眠りについた。
 
 
「ハクシャ、起きてくれ」
 緊迫したソドウの声にハクシャは目をうすく開ける。眠りの質はあまり良くなかったようで、朝日を眩しそうに見た。光の向こうに細身の青年の姿があった。
 青年は二人に近づくと、手を差し出した。
「ようこそ。『苦と楽の祖堂』、アズサの森へ。おれはユキツメ」
 手はアズサの森同様、冷たく乾いていた。二人は簡単に自己紹介すると、立ち枯れしている木に視線を移した。
「いつからこんなことになったんだ?」
「さあ? 旅人が通らなくなって時間が止まってしまったからね。とにかく長い間としか答えようがないよ」
 そう言うとユキツメは二人の前に座った。そこに悲壮感はない。
「これもイナシロやホノイロと関係があるのかしら?」
「こうなったのは、ザクロの森から立ち込めてきた濃い霧が原因だけどね。でも、弱い木から枯れていったから、この森に問題がなかったとは言い切れないよ」
 言葉を失うソドウとハクシャに笑いかけると、ユキツメは話はこれで終わりというように、立ち上がり、自分の衣服についている泥を軽くはたいた。
「とにかく、久しぶりの旅人だ。次の森まで案内するよ」
「これだけ歓迎されたのは初めてだな」
 新たな試練が訪れるのだろうと思っていたソドウは、呆気にとられ、つい本音を口に出してしまった。今までのことを考えるとソドウはどうしても戸惑いを隠せない。ユキツメはソドウの不安を含んだ呟きを、好奇心に満ちた微笑みに包み込んだ。
「喜んでもらえて嬉しいよ。片付けも手伝おうか?」
「いや、そこまでしてもらわなくても大丈夫だ。少し待っていてくれるかな?」
「いいよ」
 ユキツメがそう言うと、ソドウは立ち上がり、広げていた敷物を片付け始めた。その横でハクシャも敷物を丸める。習慣となった動作に無駄はない。そんな二人の様子が余程珍しいのか、ユキツメは興味深そうに見ていた。
 
 
 枯れた森は思ったより遥かに歩きにくい。植物の根がはっていない土は、身体の重みであっけなく崩れていく。安定しない地面に残った足跡は酷く歪んでいた。脆くなった枝は支えにはなりそうもない。両手をつきながら進むソドウの目の前で、ユキツメは軽々と斜面を登っていく。楽しそうに、時に弾むように進むので、ひとまとめにしている髪の毛が馬の尾のように左右に揺れていた。
 ハクシャはソドウの背中を見ながら、歩き続けた。登り続けると共に息が上がってくる。彼女は腰に紐で括りつけていた筒を手にとった。中に入っている水を飲もうとした時、紐が枝に引っかかる。
「あ!」
 ハクシャは足を滑らせ、枯れ木に寄りかかった。彼女の体重を支えられず、枯れ木は音をたてて倒れていく。
「ハクシャ!」
 ソドウが咄嗟に出した手を、ハクシャは取らなかった。宙に投げ出された身体は斜面を滑り落ちていく。ハクシャは必死で腕を張り、指を地面に立てて、落下を止めようとする。土埃が舞う中、ようやく手掛かりを見つけ、彼女は全身の力を込めてしがみついた。飲み水を入れていた筒が身体から離れ、からからと音をたてて斜面を落ちていく。もう少しで自分もああなるところだったとハクシャは震えながら筒を見送った。
「大丈夫か?」
 頭上からソドウの声がした。ハクシャは出来るだけ元気そうに答える。
「怪我はないから、すぐに追いつくわ」
 少し間があった後、ソドウの答えが聞こえる。
「分かった。ユキツメにも伝えておくから、少し休んでから来るといい」
 ソドウの背中を見送ったハクシャは、ゆっくり立ち上がり、自分の身体に押しつぶされた幹をぼんやりと見た。循環していかない命の流れが、まるで自分の行く末のように思える。何も出来なかった自分が思い出され、一体、この旅は何のためだったのか分からなくなる。今はただ、前を向いて歩くことしか出来ない。頼っているくせに、自分の足で歩きたいという矛盾が足下を狂わせてしまう。
「頼りすぎることが怖くて、差しのべられた手を取らないなんて、落ちたほうが良かったのかもしれないわね」
 哀しい自責の呟きは、足跡と共に向かい風に消されていった。
 ハクシャがソドウの元に辿り着くと、そこにはユキツメも待っていた。待たせたことを謝ろうと息を整えるハクシャの前で、ユキツメは空を見上げた。
「雨が降りそうだね。もう少し行くと岩場があるから、そこで今日は休もう」
「このくらいの雨なら大丈夫よ。それより先に進みましょう」
 まだ日が高い。景色もそう変わっていなかったので、ハクシャは焦っていた。
「ここの雨は霧と同じで綺麗ではないんだ。悪いものは身体にあてないほうがいい」
 真っ直ぐな瞳に制されて、ハクシャは小さくため息をついた。
「分かったわ」
 小さな岩が点在するその場所で、それぞれ違う岩陰に留まった。しばらくすると、白い枝に引っかかったような灰色の雲から、霧の様な雨が降ってくる。
「静かな森だな」
 沈黙に耐えかねて、ソドウが独り言のように言った。隣の岩陰にいるユキツメがそれに答える。
「葉が全部落ちているからね。小さな生き物もみんないなくなってしまったから、聞こえるのは枝が折れる音ぐらいだよ」
 痛々しい言葉の中にも、強がりひとつ見えない。どこか遠くの出来事のように聞こえて、ソドウはため息をついた。
「何だか、他人事みたいだな」
 ユキツメは両膝を立て、その上に両肘を乗せた。掌で自分の頬を包みながら、眼下にも広がりだした雲を見る。灰色の海は枯れた森を飲み込もうとしていた。
「最初はそこらじゅう駆け回って、何とかしようと思ったけどね。そのうち、どうにもならない、見ているしかないって分かったんだ。抱えられる荷物の量が限られているように、きっと、辛いことだって抱えられる量が決まっているんだよ」
 諦めたような言葉に、ハクシャはどうしても納得がいかなかった。
「抱えきれなかった辛いことはどこへ消えていくのかしらね。もしかしたら、消えずにずっと足下に残っているのかもしれないでしょう?」
 ユキツメは冷たい目をして、ハクシャを見た。
「ハクシャはそれを拾いたい? 腐った果実の上で立ち尽くすことが、どれだけ必要なのかな。腐臭に気がつかなくなったら、その時は自分も腐っているんだよ」
「そうかもしれないわね」
 彼女の弱々しい声は、次第に大きくなった雨音にかき消された。再び沈黙に支配された森を風だけが通り抜けていく。
 辺りが暗くなった頃、雨が止んだ。月明かりを頼りに岩陰から出てきたソドウは、ハクシャが眠っていることに気がついた。ソドウはハクシャの荷物から、布を取り出すと彼女の肩にかけた。そして、自分のいた場所に戻ると、比較的汚れていない敷物を持って、ユキツメのところへ向かった。
「良かったらこれを使ってくれ」
「ハクシャは眠った?」
「ああ」
 ソドウはユキツメの隣に座りながら、先ほどの彼の様子を思い返す。これまでの一歩引いたような態度から一変して、ハクシャに厳しくあたっていた。
「ハクシャは何か言ってはならないことを言ったのか?」
「別に。アズサのことはおれの責任なのに、ハクシャが落ち込んでいるなんておかしいと思っただけだよ」
 ぷいと横を向いて、ユキツメが答えた。声を抑え目にしているところから考えて、ハクシャに対して全く配慮していないという訳ではないらしい。
「気持ちは分かるが、ハクシャをあまり追いつめないでくれないか? 彼女は今やっと立っている状態なんだ」
「立っている場所が違ったら、言ってあげるのが優しさだと思うよ。何のために二人でいるのか分からないじゃないか」
 ソドウの言葉にユキツメはむきになって答えた。それが、何かを掴みたくて手を伸ばしているように感じて、ソドウはユキツメに向き合うように座りなおした。
「ハクシャがホノイロと話をすると言い出したとき、俺は彼女の手を離してしまった。そして今それを後悔している」
「だから間違っていることも教えないの?」
 ユキツメは覗き込むようにしてソドウを見た。
「目の前には既に起こったことと、今から起こることしかない。だから立ち尽くしている間は、渦に飲まれているのと同じだと俺は思う。抜け出して外から見なければ、正しい判断は出来ない。ハクシャが渦から抜け出すのを俺は待っているんだよ」
「待つ価値は、信じる価値はあるの?」
「価値なんて必要ないな。俺はただ、二度とハクシャを一人にしたくないと思っているだけだから。ユキツメだって、そうだろ?」
 急に自分に話を向けられて、ユキツメは目を丸くした。
「何で、おれ?」
「こんなになっても森から離れようとしないのは、森の力を信じているからじゃないのか?」
 ユキツメはぽかんと口を空けた後、岩陰から一歩前に出た。丸い月が薄ぼんやりと暈をかぶっている。ユキツメは月に向かい、届かないと分かっている手を、思い切り伸ばした。
「力を信じるとか、守れなかった償いとか、一緒に生きてくれていた感謝とか、言葉にすれば独りよがりでつまらない理由だよね」
 ユキツメ自身が光っているようだとソドウは思った。彼の背中に向かって、語りかける。
「独りよがりだと分かっているうちは、独りではないよ」
「そうかな。そうだといいな」
 ユキツメは振り返って微笑んだ。月明かりに照らされた顔は、どこかに納まるべきものが納まったかのようにすっきりとしていた。
 
 
 朝、霧が晴れた頃に動き出し、夕陽が空を染める頃に野営の準備をする。そんな日が何日も続いた。相変わらず景色は変わらないので、登っては降りるという動作を繰り返しているだけのようにも思えたが、動いているということは何らかの達成感をもたらしていた。
 ハクシャの気持ちはまだ晴れてはいなかった。それでも、先を行く二人の負担にならないよう、必死で前に進む。険しい斜面では何度も手をつくので、爪には泥が入り込み真っ黒になっていた。
 ふと、地面に這う長い物を見つけて、ハクシャは手を伸ばした。木の根にしては細くて柔らかい。手元に寄せると、何かが付いて来た。見覚えのある物に、ハクシャは息を飲んだ。
 それは、数日前に自分が落とした筒だった。ハクシャの心のざわめきを察したように、筒の中の水がちゃぷんと揺れ動く。
「どうかしたのか?」
 急に立ち止まったハクシャを心配して、ソドウが声をかけてきた。ハクシャはユキツメに気づかれないよう、声を落としてソドウに説明する。
「これ、何日も前に私が落としたものなの。ソドウ、私たちは同じ場所ばかり歩いているのじゃないかしら?」
「まさか」
 にわかには信じがたいといった表情をしていたソドウだったが、試しに、傍にあった幹についている水滴を口に入れてみた。異臭もなければ、違和感も残らない。ユキツメに言われてあれほど避けてきた雨は普通の雨だった。
「ここが祖堂だということを忘れかけていた。俺たちは常に試されているんだ」
 土が落ちる音がした。ハクシャとソドウが立ち止まったことに気づいたユキツメが軽やかに降りてくる。何があったのか聞く前に、凍てつくような二人の表情を見てユキツメは困ったような笑みを浮かべた。
「二人とも怖い顔をしているね。もしかして、気づいたのかな?」
「水に異常はない。同じ場所を何日も歩いている。何が目的なんだ?」
 ソドウは低い声で問いただすように言った。ユキツメは頭を下げると、静かな瞳をして答える。
「だまして悪かったよ。でも、どうしても新しくて強い種が必要だったんだ」
「種?」
「そう。二人の服や、敷物に付いている土には種が混ざっている。今まで通ってきた森の種がね。おれはそれが欲しかったんだ」
 そう言えば、泥だらけだとソドウは思った。
「それならそうと言ってくれたら良かったのに」
「育つか分からない種を蒔いてくれとは言えなかったんだ。でも、どれだけ責められても文句の言えないことはしたのは分かっているよ」
 もう一度深く頭を下げるユキツメを前に、ソドウとハクシャは顔を見合わせた。お互いに怒りの感情がないことを確認すると、ハクシャはユキツメに問いかける。
「あとどのくらい歩けば次の森に行けるのかしら」
 ユキツメは驚きながら顔を上げた。言い辛そうに言葉を選んでいたが、意を決したようにはっきりと言った。
「ここからなら、三日あれば頂上に着くよ。頂上から向こうはこれほど荒れていないから、今よりは楽だと思う。今度はちゃんと案内すると約束するよ」
 二人が頷くと、ユキツメはもう一度頭を下げた後、歩き出した。
 それからは急に険しい道のりになった。振り返る余裕もなく、岩だらけの斜面を登り続ける。罪滅ぼしのつもりか、ユキツメは何度も後ろを振り向きながら声をかける。
「もう少し頑張れる?」
「ええ。大丈夫よ」
 ユキツメの言葉にハクシャが答えた。声は小さく、まだ笑顔を見せることはなかったが、少し外に視線が向くようになったのかもしれないと思い、ソドウは安心した。
 
 
 三日が経ち、立ち枯れした木々すら姿を消していった頃、頂上が見えてきた。追い風に後押しされるようにハクシャは足を進めていた。先に到着したユキツメとソドウがザクロの森を指差し、何かを言っている。
「何? 聞こえないわ」
 とにかく促がされるまま振り返ったハクシャは、身体中の力が抜けていくのを感じた。
 それは信じられない光景だった。
 根をなくした大木によって、大きく抉られた大地は傷跡のようにザクロの森を縦断している。しかし、その傷は色とりどりの点によって、癒されつつあった。森の奥から続く点が何なのか分からないまま、ハクシャはもっとその姿を見ようと最後の坂を這い上がった。
 頂上に辿り着いたハクシャは息を整えながら、眼下に広がる景色に釘付けになっているソドウとユキツメに聞いた。
「あれは何?」
「草花じゃないかな。ううん、きっとそうだ」
「こんなに寒いのに?」
「外気はあまり関係ないよ。人が生きていると熱を発するだろう? 全ての生き物は自分に見合うだけの熱量をもっているんだ。木々も森も熱の発し方が違うだけで、内側に秘めているものは同じだよ。そして、周辺にあるものの熱量と均整を保っている」
「ホノイロが溜め込んでいた熱量が表に表れているということか?」
 ソドウの問いにユキツメは頷いて、宣言するように言った。
「今までザクロで止まっていたものが、一斉に動き始めた」
「それはいいことなの?」
「新しく繋がった道だから最初は不安定だろうね。でも、道はこれから来る旅人が育ててくれると思う。これからよくなっていくんだよ」
 そして、ユキツメは身体の向きを変え、次の森を指差した。
「あれが、クヌギの森だよ。そこを降りていけばすぐに辿り着ける」
 そう言うとユキツメは懐から枝を二本取り出した。当然のことながら、枝は白く乾いている。
「これが今のアズサの森だから、受け取ってくれるかな?」
 ユキツメから枝を受け取りながら、ソドウはこれから歩く道を見据えた。
 程度の差はあるものの弱っている森には違いない。ソドウはハクシャに、あと数日間種を蒔いてみないかと相談した。ハクシャが静かに頷くのを確認すると、ソドウはユキツメの前に立った。
「降りる時も案内を頼みたい。隅々まで案内してくれるかな?」
 ソドウの言葉に、ユキツメはじわりと浮かんできた涙を拭いながら精一杯微笑んだ。
「絶対きちんと育てるよ。祖堂を繋げられるように頑張る」
 草花の点が線や面になるように、自分たちの足跡も道になっていくのかもしれない。ソドウは今までの出来事がひとつに繋がっていくのを感じた。大地を這う根の繋がり。途中で途切れても何度も繋がろうとする強さ。その強さを信じて、ソドウはまた一歩踏み出した。
 
 
 
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